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Pro Tools 2022.9 リリースに含まれる機能、ワークフロー、および拡張機能の中に、ARA 2のサポート、具体的にはPro ToolsとMelodyneの統合によるピッチとタイムソリューションの編集機能が含まれています。これはPro Toolsに対して最も要望の多かった機能の1つであり、全ての有効なサブスクリプション、もしくは有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちの永続版ユーザーにご利用いただけます。

Melodyneをご存じない方のために説明すると、ピッチ、ビブラート、ボリューム、歯擦音、音の長さ、タイミングを変更することができる素晴らしいツールです。Melodyneは、ボーカルの素早いチューニングやハーモニーの作成、楽器のリボイシング、リズムのタイミングの修正など、世界中の数多くのエンジニアに毎日使用されています。 

 

 

 

ARA + Pro Tools

ARAは、Audio Random Accessの頭文字をとったものです。Melodyneを開発したCelemonyが、PreSonusと2011年に共同開発した、オーディオ・プラグイン用のデータ交換拡張機能です。 ARAを使用すると、プラグインとデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)との間でより多くのオーディオ情報をやり取りできるようになり、DAWとプラグイン間でやり取りされるデータの種類が増えることで、ワークフローがより合理的かつ効率的になります。位置、ピッチ、テンポ、リズムなどは、交換可能なデータの例です。ARAの第2バージョン(ARA 2)は2018年に登場しており、それが今回Pro Toolsとの統合に利用されているバージョンとなりますです。ARAをサポートするプラグイン・メーカーも増えており、この強力なオーディオ・ワークフロー拡張の未来はかなり明るいと言えます。

ARA対応に際し、Pro Tools では、まず最初にCelemony社の強力なピッチ&タイムソリューションであるMelodyneを統合する機能が実装されます。これによるワークフローの主な利点は、Pro Toolsとの深い統合にあり、これによりオーディオのラウンドトリップ(データのやり取り)が不要になるため、ユーザーにとってより理解しやすい使い方が実現されています。Pro Toolsは、膨大な数のワークフローと多様なタイプのユーザーをサポートしています。そのため、この強力なツールをどのように使うかをユーザーが選択できるようにすることが、ARAを統合する上で最も重要なことでした。Melodyneは、トラック全体に一度に適用することも、クリップ単位で使用することもできます。Melodyneは、ティック・ベースのオーディオを扱う際に、分析または編集されたクリップで、エラスティック・オーディオ・プラグインとして使用することができます。Melodyneのユーザー・インターフェースはPro Toolsの編集ウィンドウにドッキングされ、トラック・メニューとクリップ・メニューに新しいコマンドが追加され、それぞれのコンテキスト・メニューが表示されるようになりました。

Screenshot of ARA 2 Melodyne menu in Pro Tools

 

Melodyne ARA 2 を Pro Tools で動作させるには、有効なライセンスと動作可能な Melodyne のバージョンが必要です。Melodyne 5 essential は、Pro Tools のすべての有料バージョン(有効なサブスクリプションと有効な永続版ライセンスの両方)にインストールされています。また、Pro Tools Intro(Melodyne 5 essential は付属しません)でも、Melodyne のライセンスをお持ちの場合は、そちらをご利用いただけます。Melodyne の上位バージョン(Melodyne Studioなど)のライセンスをお持ちの場合、Pro Tools(2022.9バージョン以降)にインストールされた新しい ARA 2 バージョンのMelodyne が自動的に上位バージョンを更新するので、追加の機能が利用できます。

 

Screenshot of ARA 2 Melodyne in Pro Tools Edit Window

 

Pro Tools ARA ワークフロー

Pro ToolsでのARA 2ワークフローは、多様なユーザー・ニーズに合わせて設計されているため、可能な限り柔軟性を持たせています。ここでは、トラックとクリップ・ベースのワークフローを詳しく説明します。
素早く簡単にMelodyneで編集を開始するには、編集したいクリップを選択し、コンテキスト・メニューから[Melodyne] > [編集]を選択またはショートカットキー Ctrl + Shift + A(Mac)、Start+Shift+A(Windows)を使用すると、魔法のようにクリップが分析されて、ドック式エディタですぐに修正することができるようになります。

Melodyneはクリップ単位で使用できますが、トラック全体に編集を適用する必要がある場合は、トラック・ベースのアプローチも可能です(エラスティック・オーディオのアプローチと同様)。
ARA/Melodyneで編集されたクリップがわかるように、視覚的なサインが含まれています。ARA経由でMelodyneにより分析または編集されたクリップには、分析データを表す水平線に加えて、Melodyneバッ ジが表示されます。 

 

Screenshot of ARA 2 Melodyne visual cues in Pro Tools

 

新しいタブ・システム

Pro ToolsにARAを実装するには、大量の情報建築と重要なデザイン上の考慮が必要でした。Melodyneと将来的なARA実装を格納するために、新しいドック式タブ・システムが開発され、ドック式MIDIエディタが元々存在していた場所に配置されました。このタブ・システムは、Melodyneタブだけでなく、MIDIエディタとクリップ・エフェクトのタブも新たに含まれる、拡張可能なタブ型ユーザー・インターフェースです。今後、この拡張可能なタブ・システムに、他の場所に格納することが困難な新機能を追加することも可能になるでしょう。

Screenshot of ARA 2 Melodyne tab system in Pro Tools
左下の新しいタブ・システム

 

ARA 2 Melodyneの具体的なワークフローを動画でご覧ください。
(上部のタイトルの上をクリックしていただき、YouTube上でご覧ください。)

Melodyneでボーカル・チューニング

Melodyneでボーカル・ハーモニーを作成

Melodyneでボーカルをリボイス

Melodyneでオーディオのタイミングを調整

 

Melodyneの統合を皆さんにお知らせできるのは嬉しいです。また、ARA に取り組んでいるチームがウクライナにあることも強調したいと思います。非常に不安で混乱した時間を過ごしながらも、開発者やテスターの多くは、この統合を実現するために努力しました。チームに脱帽! 英雄に栄光あれ!

 

ご利用方法

ARA 2 Melodyneの統合は、次回のPro Toolsソフトウェア・アップデートに含まれ、有効なソフトウェア・アップデート+サポート・プラン、有効なサブスクリプションまたは永続版ライセンスを持つすべてのPro Toolsユーザーが利用できます。

Pro Tools 2022.9に付属するARA 2 Melodyne統合機能、Melodyneインストーラーのアップデートは、現在Pro Toolsをご利用で、有効なサブスクリプションまたは有効な永続版ソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべての方に提供されます。Avid LinkまたはAvidアカウントからアップデートしてください。Pro Toolsのソフトウェア・アップデート+サポート・プランを更新する必要がある場合、または最新バージョンに更新したい場合は、こちら をご覧ください。また、Pro Toolsを初めてお使いになる方は、30日間の無償トライアル で最新バージョンをお試しいただけます。このリリースの詳細については、Avidアカウントで利用可能な新しいドキュメントをご覧ください。

 

Celemony、Melodyne、DNA Direct Note Access および ARA Audio Random Access は、Celemony Software GmbH の登録商標です。

David Cotton of Avid
David Cotton

David Cotton is a Lead Product Designer at Avid and the Sketch and ARA team lead